コロニアル様式というのは、一般的には幕末から明治期にかけて外国人の設計した西洋建築を表す言葉ですが、具体的には、その中でも白い壁やベランダがある建物をそう呼びます。
先に話題にしたマッケンジー邸もそうですが、ふるさとしずおかには、もうひとつ有名なコロニアル様式の住宅が現存します。
明治にキリスト教の伝道のためにカナダから来静したロバート・エンバーソン牧師が暮らした旧エンバーソン邸。
きょうは、その旧エンバーソン邸のお話を。
1904年にふるさとしずおかは西草深に立てられた旧エンバーソン邸は、現在は移築され、日本平中腹の静かな木立の中にひっそりと建っています。
西草深時代には、寄宿舎やテニスコートなどが併設されていたそうですが、今は、母屋のみが当時の姿をとどめています。
牧師の暮らす家ということもあって、先に挙げたマッケンジー邸と比べると華美さはありませんが、バルコニーのアーチや二階のサンルーム、日本様式を取り入れた欄間などにセンスの良さを感じます。
昭和の宰相 中曽根康弘氏は、旧静岡高校時代の昭和初期、このマッケンジー邸のゲストルームで暮らした時期があったとか。
秋が深まりつつあるこの季節は、天気さえよければサンルームやベランダのベンチで日がな読書にふけるのも贅沢な過ごし方です。
アプローチには、ドングリが落ち、ベランダから見える木々もほのかに色づき始めていいました。
ロバート・エンバーソンは、邸の完成後の1905年、ふるさとしずおかに出征軍人遺家族幼児保管所を開設します。
前年に行われた日露戦役の遼陽会戦に郷土の歩兵連隊が参戦し、多くの戦災孤児が生まれたからです。
これが、現在葵区の井宮町にある児童養護施設 静岡ホームの前身となりました。
この美しい洋館の向こう側には、そんな歴史も刻まれているのです。
ところで、この旧エンバーソン邸では、同邸をもっとたくさんの皆さんに知ってもらいたいと、積極的に広報をしています。
何かに利用してみたいとお考えの方は、一度相談してみてはいかがでしょう。
きょうのおまけは、同邸の北にある『金とき』の特テキライス300g。
大満足の一品です。
最近は、赤身の方が好きだなぁ。