月別アーカイブ: 2017年10月

三嶋暦とベビーシュークリーム、のココロ。

IMG_6321三島というところは、水の町といわれるほど清らかな清流が多い。
人口12万に満たない小さな町ですが、
市内に鎮座する三嶋大社がその名の由来といわれる通り、
この町もそこかしこに歴史の香りが漂う魅力溢れる町のひとつです。
この三嶋大社は、一千数百年にも及ぶ歴史を持つ伊豆国一宮。
かの源頼朝が、平家打倒の狼煙を上げたことでも有名です。
きょうのお話は、その三嶋大社のちょっと東にある三嶋暦の館のお話。

IMG_6294 江戸時代までの暦というのは、現代人の感覚でいうカレンダーとはちと違うようでしてな。
年中行事や占いによる日々の指針なんかが書かれていて、
いわゆる生活暦のようなものだったそうで。
三嶋の暦は仮名暦ともいわれ、漢字を用いずに仮名で書かれた
女性や子供向けのもので、河合家が世襲で編纂、発行したものを三嶋大社が流布したのだといいます。
歴史を紐解くと、そもそも暦というのは作物を育てるために発展したもので、
陰陽師で有名な土御門家の統制の元、気候によってその地特有の暦が作られていました。

IMG_6296当時、お上に認められていた暦は、西から伊勢、京、奈良、三嶋、会津の五つ。もちろん、太陰太陽暦です。
月の満ち欠けが基本ですから、1ヶ月は等しく約29日。1年だと約354日。
今の太陽暦と比べると、1年で11日もの差が生じます。
この『約』の帳尻をあわすために設けられたのが『閏月』。
3年に1度、1年が13ヶ月になるんですな。なんか不思議。
例えば、中秋の名月という言葉。
太陰太陽暦の秋は、陰陽五行に基づいたもので7~9月。
FullSizeR真ん中の8月のさらに真ん中が15日。つまり、8月15日が『中秋』ってわけ。
この夜に空に上がる月がまん丸で、そのまん丸のお月様を見て、
これまたまん丸のダンゴを食べるのが日本人ならではの慣習ですが、
現代の太陽暦では中秋の名月は1ヶ月も遅くやってくるんですね。
そんな話をガイドの山中さんがしてくれます。
洋の東西を問わず暦を統一することは大切ですが、
IMG_6301なんだか旧暦のほうが季節感があっていいね。
日本には四季があるから。

で、きょうのおまけは、三島 広小路のララ洋菓子店
長年、三島っ子に愛されているベビーシュークリーム
甘くてふっくらしていて食べ過ぎ間違いなし。

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東海館とうな重のまとい、のココロ。

えー、伊東というところは、東伊豆の中ほどにある観光名所。
伊豆観光でいうところの横綱みたいなものですな。
IMG_6186見どころを挙げれば、伊東温泉に始まり伊豆高原には
大室山や城ヶ崎海岸に一碧湖、さらには、20世紀美術館に川奈ホテルと枚挙に暇ありません。
人口僅かに7万人。小さな小さな海沿いの町は、首都から近い地の利も手伝って、近代以降は観光都市としてその歴史を重ねてきました。

ということで、きょうのふるさとしずおかのよしなしごとは、伊東のお話を少し。

IMG_6198伊東といえばビギナーはまず伊豆高原でしょうな。
ワタシにも思い出があります。
かわいいかわいいガールフレンドと一碧湖でボートに乗ったりして。
かれこれ30年以上前の話ですが。
まぁしかし。
郊外の観光地もいいものですが、大人になると中心街の深~い魅力に惹かれます。
センチメンタルでノスタルジック。古き良き時代の温泉街の幻影に出会えます。
JR伊東駅から南に約1km。伊東市街を東西に分断して流れる松川に架かる大川橋近く。
1928年 開業の温泉旅館 東海館は、70年に及んだ営業を終え、
2001年から同市の文化施設としてその内部が公開さています。
IMG_6204この東海館が今回の一押し。
まさに、大正から昭和初期の古き良き温泉街の情緒をたっぷりと湛えた木造三階建ての温泉旅館。
38年に伊東線が開通した後に、同館は黄金期を迎えたといいます。
創業者の稲葉安太郎氏は、生業が木材業であったことから、その所有する貴重な木材を惜しみなく同館の建築に投入しました。
階毎に3人の棟梁が腕を競い合った異なる意匠の彫刻、3階の120畳の大広間、ローマ風のタイル風呂、そして屋上の望楼など、見どころは尽きません。
IMG_6208館内はまさに昭和初期への時間旅行。
この日はダメでしたが、同館は日帰りの浴場利用も可能だとか。
つかの間ですが、現を忘れて古の温泉旅館を楽しめます。

腹が減ったら、伊東随一のうなぎ屋『まとい』 へどうぞ。
タイムスリップを終え、老舗旅館の唐破風を出ると、まさにそのまん前に暖簾を構える人気店。
FullSizeR醤油の香味がきりっとした、甘みを押さえたタレにふっかふかの柔らかな蒲焼き。
お店の繁盛ぶりにも納得。
うなぎはいいね。池波正太郎先生の教えどおり、うなぎはがっついて食べるべし。

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