『道徳』という言葉の意味を辞書で調べると、『人が善悪をわきまえて正しい行為をなすために、守り従わねばならない規範の総体』とあります。
深いですなあ。
事業を営んでいると、ある時は、知った顔の儲け方に『あいつは品のない稼ぎ方をする』と注文を付けたくなったり、またある時は、自身の商売に『これは本当に世のためになっているのか?』なんて疑問を感じたりすることもあります。
誰もが『正しい』、そして『世のためになる』儲け方をしたいと思うのでしょうが、周りを見渡してみると『儲かればいいじゃん』と顔に書いてある人も結構います。
遠州は掛川の公益社団法人 大日本報徳社は、二宮尊徳翁が唱える報徳思想の普及活動を続ける全国各地の報徳社の総本山。
つまり、師曰く、私利私欲に走らず世のため人のために尽くせば、
やがてそれが実となって自らに還元される、というのですな。
まことに清廉なすばらしい考え方です。品格を感じますな。
かくあるべしと思います。
この大日本報徳社。皇室とも所縁があり、掛川城に隣接する本拠には実に魅力的な歴史的建造物群が多く残り、そのほとんどが平成の今も思想普及の学び舎として使われています。
掛川というところは、人口僅かに12万。周辺を含めた商圏人口も30万に満たない小さな町ですが、実にみどころが多い。
城を中心に発展した歴史そのままに、今も掛川城をとりまく中心地には、木造で再建された天守をはじめ、先の報徳社の歴史的建造物群、幕末期の二の丸御殿、太鼓櫓に、城の鬼門を守った龍尾神社など、平成の今もこの街が如何に歴史を紡いできたのかがわかる史跡が各地に残ります。
そして、かつての城の郭 竹の丸に残る旧家『竹の丸』。
明治の終わりに、葛布の商いで財を成した松本翁が建てたこの名建築は、式台玄関が設けられて一見武家屋敷のよう。
贅を尽くした離れの二階 貴賓室は、
近代豪商の栄華を今に伝えています。
きっと、松本翁も報徳の精神に基づいた立派な商いをした人物に違いありません。
母屋の土間では、掛川産の抹茶を使ったカキ氷やロールケーキもいただけます。
いやはや、掛川の時間旅行は実に楽しい。